2010年 11月 30日 エノケン一座の旅 ⑯ 七尾 千秋楽
 能登半島の七尾で千秋楽です。
 2006年初演、2007年再演、そして2010年秋再々演の『中西和久のエノケン』は今日を限りにお蔵入りです。
 七尾は能登半島の東側の漁港でもあり、城下町でもあり門前町でもありと…落ち着いてしっとりした町でした。この町で千秋楽の記念にスタッフ・キャストへのちょっとしたプレゼントを求めました。ここは門前町でもあるので古い商家が立ち並ぶ通りがいい風情で、あるのです。その通りをブラっとしていると古い、ロウソク屋を見つけました。和ろうそくを作っていました。
 紅白の和ろうそくのセットや、クリスマスのためのキャンドルなど、見ているだけで楽しくなるものばかりです。エノケン一座の皆さん、ありがとう。

 今日は千秋楽ですから、楽屋の化粧前、衣裳、小道具、楽器、履物、大道具等など、終演後は整理を計算して片づけなければなりません。今回の稽古が始まって一年以上、お世話になった道具ばかりです。ありがとう。

 お世話になったと言えば台本もそうです。手あかにまみれた台本も、次の舞台のために大切に保管しなくてはなりません。ありがとう。

 台詞の一つ一つも、ダンスも歌も楽器演奏も発するそばから、お別れです。ありがとう。

 緞帳が上がって、カーテンコールのタップダンスそして緞帳が下がるまで、ひとつひとつの場面と「さようなら」。ありがとう。
 そして、この舞台を一緒に作っていただいたお客様ともお別れです。
 かなうことなら、この舞台のどこかの一瞬でも、その記憶の中に生き続けることができるなら、俳優として望外の幸せです。ありがとうございました。
 
 今回上演させていただいた中部・北陸のほとんどの町々は、幸いにも来年の夏『しのだづま考』で巡る予定です。
 またお目にかかれる日を楽しみにしています。
# by kyorakuza | 2010-11-30 23:10
2010年 11月 29日 エノケン一座の旅 ⑮ 砺波
 砺波はこの夏、演劇鑑賞会の総会に招かれお邪魔したところです。その折、浄土真宗のお寺で節談説経をやっていらっしゃる方がいらっしゃると伺って連れて行っていただいたお寺がありました。
 「親鸞聖人一代記」や「山伏弁念」などお寺の説教が芸能化していったもので、かつてはおおいに大衆に支持された説教でした。かつてはお寺って町の文化センターでもあり、説教師といわれるお坊さんは人気スターでもあり、引っ張りだこだったそうです。今でも北陸地方の浄土真宗のお寺では節談説経が伝えられ、近頃では伝承に努める若いお坊さんも出てきました。
 僕のひとり芝居『しのだづま考』『山椒大夫考』『をぐり考』は説経節三部作といって、僕のライフワークにもなっているものですから、ついわがままを言って演劇鑑賞会の方に連れて行っていただいたのでした。
 80歳を超えるというかくしゃくとしたそのご住職は、ゆうに一時間余り若かりし頃からの節談説経の旅の様子を語ってくださいました。

 今回もまた伺いたかったのですが、時間が取れず失礼しました。

 砺波平野はおっとりとしていて、時間もおっとり流れているようです。旅がなければ居ついてしまいそうなおっとりさです。
 お客さまも、いい反応です。感謝!
# by kyorakuza | 2010-11-29 23:41
2010年 11月 28日 エノケン一座の旅 ⑭ 高岡
 ここは日本三大大仏の一つ高岡大仏のある街です。
 今回のツアーで巡っている町々は研究生のころを含めるともう何度も行ったところですが、この町は2年前文化庁から派遣される学校公演で『ピアノのはなし』をやった街です。

 その時、今回の出演者でもある海 浩気君が昔からのごひいきでもある焼肉屋さんでしたたかに酔って、酔いつぶれ、とうとう救急車で運ばれたという逸話があります。また、今回も海君には十分気をつけるようにと注意をしておいたのですが、やっぱり好きなものは好きなのですねえ。やっぱり酔いつぶれていました。
 その焼肉屋さんは演劇鑑賞会の会員さんでもあって、今日の芝居もご覧になられたとか。
 終演後、その店で焼肉をご馳走になったのですが、その肉のなんとも美味しかったこと…。
 芝居と落語・シャンソン・旅行・飲み会大好きというおかみさんは通称マリリン。
 店の名は鉄木真(テムジン)。
# by kyorakuza | 2010-11-28 23:10
2010年 11月 27日 エノケン一座の旅 ⑬ 野々市
 このところ石川県と富山県を行ったり来たりしています。今日の主催者は金沢市民劇場野々市鑑賞会といって事務局は石川県野々市にありますが、会場は白山市の松任文化会館。このあたりでは「まつとう」ではなく「まっとう」といいます。だからこの町ではユーミンは「まっとうやゆみ」と呼ばれています。ウソです。

 さてさて、出演者はこの作品ともそろそろお別れの準備の時期になりました。
 これまで、「ああしよう、こうしよう、ああしたらどうだろう、こうしたらどうだろう」と思い悩んでいたことをやりはじめる頃です。
 僕も自分の演技もさることながら、座長ですから相談事があったり、舞台の上で気付いたことはその日のうちに解決しなくては眠れません。何ステージやろうが、よりよいものを作るためには「満足」や「慢心」は捨てなければなりません。

 さて、あと3ステージ。
# by kyorakuza | 2010-11-27 23:45
2010年 11月 24日 エノケン一座の旅 ⑫ 富山
 富山演劇鑑賞会は24・25日の二日間。ツアーも終盤に差し掛かってきました。
10月の末に紀伊國屋ホールを打ち揚げ、さてまるまるひと月の旅はどうなる事かと案じていたらスタッフ・キャストともにそれぞれが助け合って、いい雰囲気の旅になりました。また、お客さまの反応も日を追って盛り上がり、「なるほどジェームス先生の「ダメ」で指摘されていた所はこういうことだったのか」と納得したりするのですね。その「ダメ」は企業秘密ですから公開できません。もったいなくてお教えできません。

 旅の千秋楽も近づいてきました。
 25日終演後、ちょっと早いのですが千秋楽の打ち上げを、ここ富山でやることになりました。
 千秋楽の七尾で打ち上げをやるとなると、スタッフの中には次の仕事のためにその日の夜に出発する人もいるので、全員がそろうのはもうこの日しかないのです。しかも次の日は、空き日ですから思いっきり飲めます。因みに僕は全くの下戸です。
 下戸だから、飲み会や飲み屋が苦手かと言うと、そうでもない。というより好きなのです。だって、飲むところには必ずおいしいものが出てくるでしょう?
 僕の尊敬する俳優さんはなぜか下戸です。下戸だから尊敬しているわけではないけれど、なぜかそうなのです。師匠の小沢昭一さん、三国連太郎さん。
 でもお二人とも酔っぱらいの芝居は得意です。
 小沢さんには大道でトラの巻を売る香具師が酒を飲みながらトラになっていく「とら」というひとり芝居があるし、三国さんには何年か前まで焼酎のCMがありました。

 
# by kyorakuza | 2010-11-24 23:49
2010年 11月 23日 エノケン一座の旅 ⑪ 金沢
 上演会場の石川県立音楽堂邦楽ホールは、客席の上手下手に丸い提灯がずらりと並んで、芝居小屋風の劇場でした。熊本の八千代座、福岡の嘉穂劇場、愛媛の内子座。いずれもひとり芝居『しのだづま考』『山椒大夫考』などでお世話になった劇場ですが客席と舞台が一体になれる、いい雰囲気なのです。
 この邦楽ホールは、超近代的なつくりの劇場なのですがこの提灯のおかげで「嘘の世界」を客席と共有できるのです。日本の芝居小屋は常に「嘘っこだよ、嘘っこだよ」と言っているようなもので、ブレヒトよりもずっと昔から「異化効果」ってやってたのですね。
 さすがに金沢だなあと思わせる空間でした。お客さまも客席数700余りですからキュッとしまった空気とお祭りのような気分が漂い、芝居はいやが上にも盛り上がりました。
 でも金沢ってどうしてあんなに「金」が好きなのかなあ?劇場のロビーの飾り付けやデザインにやたらと金色が目立ちます。
 兼六園や市民が運営する芸術村にも行きたかったけど、今回はお預けです。ゆっくりしたいゆっくりしたいと思いながら、旅は進んでいきます。
# by kyorakuza | 2010-11-23 23:34
2010年 11月 22日 エノケン一座の旅 ⑩ 魚津
 芝居の旅で本番がなく次の公演地へ行く日を「のり日」と言います。21日は愛知県から富山県に移りました。つまり太平洋側から日本海側へ。途中、人身事故で列車の遅れがあり急遽新幹線に乗り換えたりしましたが、無事魚津へ着きました。
 ここは夕日のきれいな街です。一座の数人で夕日を見に行くことになったけど、ほとんど日は沈み夕暮れ時。
 波止場の堤防にのぼって、のんびり潮風にあたっていると出演者の一人女優の坂口アミがいなくなっていることがわかりました。
 波にさらわれたのか、人さらいか?拉致か?携帯も通じない。
 皆で「アミちゃーん!アミちゃーん!」と呼ぶことしばし。警察に届けようかとなった時、携帯が通じました。
アミちゃんは、歩いて先にホテルに帰っていました。

 さて、日本海側に移ったエノケン一座、魚津でも大受け。

 終演後は、貸し切りバスで金沢へ移動です。バスの中での弁当は超豪華版でした。長旅では食べることが唯一の楽しみとなります。
# by kyorakuza | 2010-11-22 22:02
2010年 11月 20日 エノケン一座の旅 ⑨ 稲沢
 ここは、数年前いなざわ演劇鑑賞会の総会の出しものとして『ピアノのはなし』を上演したところです。
この日は、ビデオの撮影も入ったのですが記録に残すだけです。これを公開したり、ましてや売るなんてことはありません。紀伊國屋ホールでの公演から旅に出て、お客様の目にさらされることでずいぶんと芝居が成長してきました。
 ここらで撮ってみようかということです。
 でも、登場してすぐに、いつものように
「中西和久って誰だい、え、ここにいるのか」って言ったら客席後方から野太い声で「おー」って反応があり、「いるんなら手上げてみな!」って言ったらやっぱり野太い声で「はーい」との返事あり。「ほんとかよ、ちょっとおいでよ」って声をかけたら、その人ほんとに出てきちゃった。「あんた本当に中西和久さん?」って聞いたら「そうだ」って応えられた。
 こんなこともあるんですねえ。客席に同姓同名の中西和久さんがいたのです。でも、ほんとかなあ…。
 だからこの日のビデオは、台本通りではなくなった。
# by kyorakuza | 2010-11-20 22:39
2010年 11月 19日 エノケン一座の旅 ⑧ 岐阜 名古屋
 そろそろ、旅の中盤です。
 岐阜は15・16日と2ステージでしたが、なんとカーテンコールは二日間とも客席後方に「中西さん、誕生日おめでとう」の垂れ幕が現れ、バースデーケーキ(40cm×50cmほど)も登場しました。長いことステージの仕事をしていますがこんなことは初めてでした。
 岐阜の皆さん、ありがとう。心から御礼申し上げます。

 17・18・19日は名古屋でした。中京大学文化市民会館プルニエホール。金山の元市民会館が名前を変えていました。隣のホールでは17日は小林幸子歌謡ショー。
 負けられません。『中西和久のエノケン』のCDの売れ行きも好調です。僕も紅白目指すんだー。
楽屋でいただいたバースデーケーキも上品な味でおいしかった。これも楽屋通りでスタッフ・出演者におすそ分け。

 話は変わりますが、名古屋の味噌煮込みうどんってどうしてあんなに値段が高いの?
# by kyorakuza | 2010-11-19 22:07
2010年 11月 14日 エノケン一座の旅 ⑦ なのはな 11月14日
 なのはな演劇鑑賞会は愛知県愛西市にあります。愛西市は名古屋から西へ名鉄で40分ほど。岐阜県と三重県に接していて、のどかです。上演会場の佐屋公民館の脇の川辺は桜の名所だそうで、春には花筏が楽しめるそうです。秋も深まりその桜並木は枯葉の深い色に染まっていましたが。それもこれから落ち葉になるのでしょう。その風情がまた素敵でした。京楽座の稽古場の前の桜並木もきっとこういう色に染まっているのでしょうか?
 さて、エノケン一座の旅もいよいよ佳境に入ってきました。この芝居は、エノケンやその一座にいた人々のエノケンについての証言集のようなもので、出演者それぞれが数百人のお客様を相手に演技をしなくてはいけないのです。いわば一人芝居の連続。その間にジャズの生演奏があったりダンスや歌があったり…そのたびに衣装替えがあったり、一人10回は着替えることになるので衣装だけでも100着はあるでしょうか。
 出演者、スタッフ一同迎えてくださったなのはな演劇鑑賞会の皆様の心を砕いたおもてなしに、感激しきりでした。
 鑑賞会の役員の方は「何にもないところで…」と恐縮されていましたが、秋の田園風景に癒されました。
 だから僕は旅が好きです。
 
# by kyorakuza | 2010-11-14 22:07