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2012年 07月 16日    7・16(月・祝) さようなら原発
代々木公園に行った。全国各地から「さようなら原発」の集会に17万人(主催者発表)。これだけの人が集まったことに主催者もびっくりしていたようだ。
僕が「行ってみようかな」と思ったのは昼前だった。誰に誘われたわけでもなし、まして組織的に行動している訳ではない。天気は良いし、散歩にでも行くようなつもりで出かけた。
原宿に着くと集会参加者でごった返していた。集会は始まっていた。呼び掛け人は大江健三郎、澤地久枝、鎌田慧、落合恵子、鶴見俊輔、内橋克人、瀬戸内寂聴、坂本龍一など現代日本の良識を代表する人達といってもいいだろう。広瀬隆氏は原発事故についてわかりやすく、福島で被災された武藤類子さんの挨拶は灼熱の集会に参加した一人ひとりに優しくかたりかけ、絶望の向こうにある希望を語りかけた。
人垣をかき分けながらメーンの舞台を目指して行くと大きな音響装置を積んだトラックが目に入った。近づいていくとギターを手にした趙博(パギヤン。京楽座公演「アウトローWE」に出演者)がいる。これからこのトラックの上で歌うのだという。パギやンは新宿梁山泊に 今度新作を書いた。金守珍が演出する。八月半ばから吉祥寺シアターで上演予定。題名は「百年 風の仲間たちへ」。
 メーン会場からは聞きなれた声が聞こえてきた。司会は講談師神田香織。彼女は福島県出身。以前、京楽座のワークショップでお世話になった。
やがて3方向に別れてデモが始まった。しかし、僕はこのトラックのそばでのミニコンサートにとどまった。暑さにバテてへたりこんだわけではない。李政美(イジョンミ)のライブが始まったのだ。彼女の歌声をはじめて聞いたのは10年ほどまえ、葛飾のホールだった。彼女の歌唱力は永六輔さんが激賞していたので、それで聞きに行ったのだ。透き通った歌声に魅了された。
トラックの前をデモ隊がシュプレヒコールをあげながら通っていく。目の前であの李政美が歌っているのに、少し音量を下げられないものか。
しかし、彼女は自分の歌に集中しているのか…いや、彼女はその状況さえ自分の世界にしているようだった。歌手として大きな存在感を持つ人だ。
ただ僕はそのシュプレヒコールの音量のあまりの無神経さに、ついにいたたまれず駆け出した。デモ隊の先頭の指揮者に「ライブやってるんだから、少し音を下げてくれない?」
二言三言の押し問答のすえ、デモの指揮者も理解してくれた。ちょっと昔のデモなら、鉄パイプでぶんなぐられているところだ。時代が変わったのか、いや「反原発」というテーマで皆、仲間を求めてここにきているのだ。どこの団体のデモ指揮か覚えてはいないが、日焼け顔にニッコリ白い歯が見えた。
 「イーハトーボの劇列車」(井上ひさし・作/木村光一・演出)という芝居の初演、再演に僕は出演していた。もう30年ほど昔のことだ。その、ラストシーンで宮沢賢治は死を前にして、この世に思い残しのセリフを言う。「広場があればなぁ。広場があればそこで、みんなが談合ぶったり、鹿踊りや、神楽を楽しんだり…とにかく広場があればどんなにいいか知れやしない。」(思い出しながら書いているので、たぶん正確ではない)。
そういえば、井上ひさし先生がいらっしゃれば、きっとこの集会の呼びかけ人の一人になっていらしたことだろう。
李政美の澄んだ歌声が代々木公園に響きわたった。
ちょっとおせっかいだったかな?
by kyorakuza | 2012-07-16 22:45
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