人気ブログランキング | 話題のタグを見る
2010年 11月 04日 エノケン一座の旅 知多 岡崎
 紀伊国屋書店入口の看板に「売切れ御礼」の札が貼られたのは初めてのことでした。10月29日~31日の紀伊国屋ホールでの公演を大入りではねて、翌日から旅に出ました。
 11月2日は知多。今月いっぱい続く旅の初日であり、主催者の「ちた半島演劇鑑賞会」第一回例会の日でもありました。戦後の演劇鑑賞運動を作ってきた全国の演劇鑑賞会はこの不況の中で、縮小や解散を余儀なくされているところも多いのですが、知多ではなんと誕生しました。その第一回の例会に招かれたのです。お客様も少々興奮気味。そりゃそうでしょう、自分の子を産むようなものです。
 「中西和久のエノケン」を見たお客様が、演劇は面白いと言って友人知人家族に声をかけて会員が増えていくか…京楽座にとってもここは「勝負」なのです。
 そうです演劇鑑賞会は会員組織です。ほとんどの都道府県に鑑賞組織があって僕も研究生のころから、旅でめぐっています。一番長かった旅は芸能座の最終公演「しみじみ日本 乃木大将」(井上ひさし作/木村光一演出)でしょうか。半年間続きました。
 戦後の新劇運動を見るほうから支えてきたのがこの鑑賞組織です。だから見上手で、多くの名優や演出家・劇作家を育ててきたし、時には厳しい批評も出ます。
 さて、知多では終演後急遽ロビー交流も企画され20分ほどの質疑応答となりました。
 実はこの「ちた半島演劇鑑賞会」代表の北川さんのお兄さんは、僕の師匠の小沢昭一さんが「日本の放浪芸」探索の途上で大変世話になったお方でもあるのです。北川さんのお兄さんは尾張万歳の伝承者で小沢さんはそのお兄さんとコンビを組んで、万歳の旅に出ていました。この様子は名著「日本の放浪芸」の初めに出てきます。
 また、この地では北川さんのご尽力で10年ほど前に「しのだづま考」、そして3・4年前に「ピアノのはなし」を上演させていただいていますので、因縁浅からぬものを感じるのです。
 どうぞ「ちた半島演劇鑑賞会」がますます発展していかれますように。

 さて、今日は岡崎でした。
 見巧者です。芝居を見る時間を楽しむというお客様ばかりで、芝居がとても膨らみました。出演者一同とてもノッテやることができました。
 紀伊国屋ホールと比較すると、客席も舞台も三倍くらいの大きさです。だから動く量はグンと増えるのです。たとえば紀伊国屋で三歩のところを今日は10歩くらい歩くのです。が、その間をお客様の反応が埋めてくれます。見上手とはこういうお客様を言うのでしょう。
 
 旅は始まったばかり。
 「旅日記」ですから、どんどん更新していきます。乞うご期待!
 
by kyorakuza | 2010-11-04 02:27
<< エノケン一座の旅② 幸田 豊橋 エノケン一座の合宿 >>